ホンジュラス内政・外交月報 〈2009年6月〉
Ⅰ.内政
1.制憲議会召集を巡る動き
(1)16日、ミチェレティ国会議長は国会の制憲議会召集を目的とする「4番目の投票」承認と引き替えに制憲議会議長への就任をセラヤ大統領からオファーされたが、このような話には決して応じない旨発言した。また行政府は既に制憲議会のメンバーを選出済みであり、新憲法も起草を終えていると批判した。同議長は、新憲法案はベネズエラ、ボリビア、エクアドル及びニカラグアの憲法のそれぞれを参考としたものとなっているとの情報を得ていると述べた。
(2)19日、ロダス外相と記者会見を行ったアルコナダOAS民主主義持続部長は、28日に実施予定の制憲議会召集に係る「世論調査」にOASが「監視団」を派遣する旨発表した。
(3)23日深夜、国会で「国民投票実施に関する法」が承認された。同法によると、制憲議会召集には国会議員の3分の2の賛成が必要であり、憲法第5条及び第374条に記載されている改正不可能な条項の不可侵が明記されている。
(4)24日、セラヤ大統領は全国放送でバスケス国軍参謀総長の解任を発表した。この背景として、行政訴訟裁判所は5月27日制憲議会召集につき問う「世論調査」を違法であるとする検察の主張を受け入れ、同調査を違法かつ無効とする旨の判決を下した。バスケス参謀総長は右判決に従い国軍は「世論調査」に協力しない旨発言した。
セラヤ大統領はまた、オレジャナ国防大臣の辞任についても発表するとともに、自身の支持者に対して25日正午に大統領府に集結するよう呼びかけた。オレジャナ大臣は、「4番目の投票」設置については国会が決定するべきであると公言していた。
(5)25日、セラヤ大統領は、支持者を伴って空軍基地に押し入り、28日に実施予定の「世論調査」に使用する用品を、検察による押収に先立って、持ち出すとともに大統領府へ運送した。これは用品の検察が押収するとの情報を受けたセラヤ大統領がそれに先んじるために直接同基地へ赴いたものである。
同日、最高裁憲法法廷は24日夜にセラヤ大統領により発表されたバスケス国軍参謀総長解任に対する無効請求を認める決定を下し、これに基づきバスケス氏は参謀総長の職務に復帰した。
(6)28日未明、セラヤ大統領が国軍により拘束されコスタリカに移送された。同日午後、サアベドラ国会事務局長よりセラヤ大統領及び閣僚の辞任が発表され、右が全会一致で承認されるとともに、憲法規定に基づきミチェレティ国会議長が大統領に就任した。
(7)同日、OAS常設理事会は、ホンジュラスにおけるクーデターを非難し、早急なセラヤ前大統領の復帰を求める旨の決議を承認した。
(8)30日、国連総会においてホンジュラスにおける今回のクーデターを非難し、セラヤ大統領の政権復帰を求める趣旨の決議が全会一致で採択された。これを受け、同「前」大統領は同議会において演説を行い、法の枠内で実施される予定であった制憲議会召集を巡る「世論調査」が司法より違法とされたことに遺憾の意を表明した。
(9)30日、ルビ検事総長は国家反逆罪及び職権濫用等を理由にセラヤ前大統領に対する逮捕命令が出された旨発表し、インターポールを通じた国際手配がなされた旨述べた。
2.新型インフルエンザによる初の死者発生
22日、記者会見を行ったアギラル保健大臣は、今月13日に新型インフルエンザによる当国で初の死者が発生した旨発表した。同大臣は当初の検査では死因は新型インフルエンザによるものではないとの結果が出たが、詳細な検査を経て死亡が新型インフルエンザによるものであることが判明したと発言した。死亡したのはコパン県サンタ・リタ市出身の23歳の女性で、妊娠6ヶ月であった
Ⅱ.外交
1.OAS総会
(1)1~3日、サン・ペドロ・スーラにおいて米州機構総会が開催された。最も注目されたキューバのOAS復帰問題については、キューバが今後OASの原則等に合致することを条件として同国のOAS復帰への道筋を開く決議が参加代表一同の拍手により採択された。同決議はキューバをOASから追放した1962年の決議を廃止するものである。他方、キューバ自身はOASに復帰する意思がないことを明確にしている。
セラヤ・ホンジュラス大統領は、本件は冷戦の終わりを意味する歴史的な出来事であると述べた。チャベス・ベネズエラ大統領は総会を欠席したが、本決議についてはキューバ及び諸国の人民の尊厳にとり偉大な勝利であるとした。
決議の採択時にクリントン米国務長官は次の訪問国に向けて既に出発ずみであったところ、シャノン米国務次官補は、米国として中南米地域の声を聞いていることを明確に示すために決議に同意した旨述べた。
(2)今次機会に、次回(第6回)の「米州サミット」(Cumbre de las Americas)がコロンビアにおいて開催されることも合意された。
2.ベネズエラ軍事式典へのホンジュラス国軍の参加
(1)24日、ベネズエラで開催されたカラボボ戦勝記念日のパレードにホンジュラス国軍が参加した。この他ALBA加盟国のキューバ、ボリビア及びニカラグアの国軍も同式典に参加した。ホンジュラス国軍より何名の兵士が参加したか、どのようにベネズエラに到着したのかについては不明である。憲法第205条第27項によると、国軍が国外での業務に従事する場合は国会の承認が必要である。
(2)また同日開催された米州ボリーバル代替構想(ALBA)首脳会談にはホンジュラスからはロダス外相が出席し、政府が推進している制憲議会召集に向けた「4番目の投票」を賛美する発言を行った。チャベス・ベネズエラ大統領はALBA諸国の間で地域的な性格を有する軍を形成する必要性を主張した。
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